ミュシャ展に行ってきた。
福岡でミュシャがあるのは珍しいと思い、いそいそと見に行った。

ミュシャといえば、世界初とも言えるグラフィックデザイナー。
またはデザイナーの開祖とも言うべき。
ところが行ってみたらそんなものではない。
完全な芸術だ。それに完璧な技術。それに桁外れた天才的な発想とセンスだ。

描くところはきっちり描き、デフォルメするところはデザインに美しく落とし込む手腕。
センスもさることながら、デフォルメした時の画力が半端じゃない。
山ほどデッサンを積んできた人間のみ到達しうる、描き慣れたデフォルメ。

下描きも、デッサン線がない。一発描きとでも言おうか、修正もアタリもほとんど見当たらない。
なんと言う画力。
色々な画家は、まねできそうな「気がする」が、ミュシャは完全に脱帽。

彼の時代、写実を避け、抽象にまっしぐらのフランス。
キュビズムの影響など無縁そうに見えるマリー・ローランサンでも、一時期キュビズムに走っている。
しかし彼は環境のせいもあろうが、同じフランスなのに、キュビズム、どこ吹く風といわんばかり。

それと多くの画家と違うのが、写真の多様。
「写真」の登場で、多くの職業画家が失職した時代、写真を惜しみなく使う手法に驚く。
「この写真が、こんな風になるんだ!」と、彼の頭の中はオマージュの泉だ。

技術も優れているが、女性への憧憬の次元が崇高だ。
やや同時代の印象派、ルノアールも女性を多く描いているが、やはりどことなくセクシャルだ。
しかしミュシャは、女性の崇高さ、または女性を通して、美の崇高さを描いている。

アール・ヌーヴォー。直訳するとニュー・アート。新芸術か。
一世紀も前に、こう呼ばれた。

帰ってきて、仲間に「どうだった?」と聞かれると、「ヌーヴォーだった。ヌーヴォーすぎる」と。

一世紀たった今も、新しく、斬新だった。

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家族写真・プロフィール写真スタジオ
かなでるフォト 代表 いしばし
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